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福岡 弁護士 | 田代隼一郎の法律ブログ

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2017年 08月 03日

子育てと自転車 ~1:子供の乗せ方~

1.はじめに

我が家では、子育ての中で自転車を活用していますが、子供の乗せ方について、疑問に思うことがあります。

・自転車の2人乗り・3人乗り等はどこまで許されるか?
・子供をおんぶ、抱っこしながら自転車に乗っていいのか?
・その際のヘルメットの着用義務は?

そこで、今回は、これらの疑問点について、弁護士としてご説明したいと思います。


2.自転車の2人乗り・3人乗り・4人乗り?

幼稚園・保育園に子供を送迎する際などに、自転車の2人乗り、3人乗りしている人をよく見かけます。
このような自転車での2人乗りや3人乗りは、子育ての中では日常的な場面ですが、法律上はどこまでが許されているのでしょうか。
調査してみました。

自転車の乗車や積載等の制限は、法令の委任を受け、各都道府県が定めています。
そのため、各都道府県によって多少の違いがありますが、福岡県では、現在、次のような規定になっています。

福岡県道路交通法施行細則(一部抜粋。下線は筆者による)

(軽車両の乗車及び積載の制限)
第11条 法第57条第2項の規定により、軽車両の運転者は、次に掲げる乗車人員又は積載物の重量、大きさ若しくは積載の方法の制限を超えて乗車をさせ、又は積載をして運転をしてはならない。
(1) 乗車人員の制限は、次のとおりとする。
ア 自転車には、運転者以外の者を乗車させないこと。ただし、次のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
(ア) 16歳以上の運転者が幼児用座席に幼児(6歳未満の者をいう。以下同じ。)1人を乗車させる場合
(イ) 16歳以上の運転者が幼児2人同乗用自転車(中略)の幼児用座席に幼児2人を乗車させる場合
(ウ) 16歳以上の運転者が幼児1人を帯等で確実に背負う場合
(エ) 16歳以上の運転者が幼児1人を帯等で確実に背負い、かつ、幼児2人同乗用自転車の幼児用座席に幼児1人を乗車させる場合
(オ) 以下省略

この規定に基づいて説明しますと、子供(6歳未満のみ)を自転車に乗車させる際には、

1) 大人と子供の2人乗りは、子供を幼児用座席に座らせればOK(荷台に乗せるのはNG)

2) 幼児用座席がない場合でも、子供をおんぶ紐でおんぶすればOK(抱っこはNG)

3) 大人と子供2人での3人乗りは、3人乗り対応の自転車であればOK

 3人乗り対応の自転車については、単に座席が3つあるだけでは足りず、「幼児2人同乗基準適合車」でなければなりません。
 これについては、メーカーのWEBサイト、取扱説明書、「幼児2人同乗基準適合車」と記載されたマークの有無などで確認できます。
 また、3人乗り対応の自転車であっても、非正規のパーツ(例えば、純正ではない幼児用座席など)を用いることは許されないケースもあるのでご注意ください。

4) 3人乗り対応の自転車に1人を乗車させ、もう1人をおんぶ紐でおんぶすることもOK

 3人乗り対応の自転車を購入したものの、幼児用座席を1つしか購入していない場合や、前後のどちらかは荷台として活用したい場合などにはおんぶという方法があるようです。
 ただし、これが許されるのは、3人乗り対応の自転車(幼児2人同乗基準適合車)を使用する場合に限定されており、通常の自転車では法律上認められていません。
 通常の自転車(3人乗り非対応)の時にこそ、おんぶが必要なはずですが……やや理不尽な感じがします。

以上のように、3人乗り(あるいは、2人乗り+1人おんぶ)までは、ぎりぎり(一部条件付きで)許されているようです。


3.3人乗り+1人おんぶは?

ところで、3人乗り対応の自転車を活用すれば、「3人乗り+1人おんぶ」もできそうです。
しかし、前記規定を何度確認しても、

16歳以上の運転者が幼児1人を帯等で確実に背負い、かつ、幼児2人同乗用自転車の幼児用座席に幼児2人を乗車させる場合

という定めはありませんでした。
つまり、「3人乗り+1人おんぶ」については法律上許されていないようです。ご注意ください。


4.ヘルメットの着用について

子供を自転車に乗せるに当たって、忘れてはならないのがヘルメットの着用です。
皆様の中には、

・幼児用座席付きの自転車を購入したものの、ヘルメットがないため子供を乗せられなかった。
・子供のお迎えのために幼稚園・保育園に着いたものの、ヘルメットを忘れてしまったため仕方なく引き返した。

などの経験がある方も多いのではないでしょうか。
ちなみに、誤解されている方も多いのですが、法律上、ヘルメットの着用については、

道路交通法(一部抜粋。下線は筆者による)

(児童又は幼児を保護する責任のある者の遵守事項)
第63条の11  児童又は幼児を保護する責任のある者は、児童又は幼児を自転車に乗車させるときは、当該児童又は幼児に乗車用ヘルメットをかぶらせるよう努めなければならない

とされており、努力義務に留まっています。
子供にヘルメットを着用させなくても、直ちに警察に指導されたりするわけではないのです。
ただし、安全のためにはヘルメットは不可欠ですので、着用を徹底しましょう。


5.おわりに

今回は、自転車への子供の乗せ方に関し、いくつかの疑問点についてご説明しました。
このほか、子供と自転車の関わりの中で、「子供の遊ばせ方」についても疑問に直面する方が多いかと思います。
例えば、バランスバイクなどがその例です。

・バランスバイクは「公道で走らせてはいけない」と言われていますが、本当でしょうか?
・もし、公道で走らせた場合、どのような交通ルールが課されるのでしょうか?
・メーカーの説明書を見ると「乗用玩具です」などと記載されていますが、どういう意味があるのでしょうか?

そこで、次回の記事では、この問題点について掘り下げてご説明したいと思います。



by junichirotashiro | 2017-08-03 13:38


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